【みかんとひよどり】という本を読みました。
本の表紙とタイトルから
美味しいもの&ほのぼの系と想像しましたが
読んでみると意外とハードボイルドでした。
すいすい読めるし読後感よし◎
(^v^)
*ネタばれもあるので、これから読む人はご注意を
【みかんとひよどり】を読みました
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著者:近藤史恵
出版:角川文庫
シェフの亮は鬱屈としていた。創作ジビエ料理を考案するも、店に客がこないのだ。
そんなある日、山で遭難しかけたところを、無愛想な猟師・大高に救われる。
彼の腕を見込んだ亮は、あることを思いつく…。
©KADOKAWA公式HPより
目次
第一章:夏の猪
第二章:ヤマシギのロースト
第三章:若猪のタルト
第四章:小鴨のソテー サルミソース
第五章:フロマージュ・ド・テッド
第六章:猪のパテ
第七章:ぼたん鍋
第八章:雪男
第九章:鹿レバーの赤ワイン醤油漬け
第十章:熊鍋
第十一章:ヒヨドリのロースト みかんのソース
解説:坂木 司
主な登場人物
潮田亮二
フレンチレストランの雇われシェフ。
料理学校では優等生だったし、日仏で修行した腕に自信はあったのに
自分で開いた店も、シェフを任された店も次々と潰れてしまい
現在はジビエ好きのオーナーのもとで働いている。
店は繁盛しておらずギリギリかも。
ジビエ料理のために猟に入った山で遭難しそうになる。
ピリカという名の犬を飼っている。
大高
山で暮らす頑固で無愛想な孤高の猟師。
マタベーという名の犬を飼っている。
潮田には無愛想だけれど犬のピリカには優しい。
本を読んだ感想
結構ハードボイルド
物語の冒頭
シェフ潮田は夜の山で遭難しかけていますし
中盤では
大高の家が火災で焼失。
放火の疑いがあり、物語がキナ臭くなってきます。
終盤では
どうか無事でいて~!と懇願し
ハラハラしながらページをめくる展開になります。
狩猟や解体の描写もありますし
山でひとり、猟をする大高の暮らしは厳しい。
人間と野生動物の共生は社会問題でもあります。
過激な思想の人間とSNSも怖い!
この物語は結構ハードボイルドだと思いました。
(`・ω・´)
お料理がおいしそう♪
目次をみていると
なんだかレストランのメニューを眺めている気分になります♪
(雪男は違うけどw)
主人公の潮田はフレンチレストランのシェフなので
メニューを考えたり、料理をするシーンも多いです。
わたしは
フランス料理にはふだん縁がありませんし
ジビエ料理も食べたことはないけれど
本を読みながら
美味しそう、食べてみたい、と思いました。
特に、タイトルにもなっている
ヒヨドリのロースト みかんソース♪
改めて気付く
ジビエ料理の食材として
猪、鹿、ヒヨドリなどが登場します。
食材、といっても元は山で暮らしていた野生動物。
銃で撃ったり、ナイフで捌くシーンなどもあります。
ふだんスーパーで
きれいにパック詰めされたお肉を購入していると
忘れがちになってしまいますが
【わたしたちは他から命を頂いて生きている】と改めて気付かされます。
みかんとひよどり
ミカンを啄むヒヨドリを見たら「可愛いな~」と思います。
(*´∀`)
一方
たらふくミカンを食べて丸々太ったヒヨドリは
お肉からもミカンの香りがする。なんて言われたら
「美味しそう~」と思ってしまうのも本心なのです。
【残酷】と言われれば否定はしません。
でも、スーパーで購入する鶏肉ならいいのか?って話かも。
害獣駆除とジビエ料理
猟師・大高は
趣味で野生動物を撃っている訳ではありません。
【害獣駆除】の依頼があって猟をしています。
【害獣】と見做すのは、人間の勝手な基準なのですが
そこで暮らしている人たちにとっては
【駆除】は命や生活を守るための術なのですよね。
(´・ω・`)
物語の終盤で
駆除された獣が焼却処分されている場面があって
なんとも言えない気分になります。
人間の都合で奪った命。
せめて、美味しく頂くことが供養なのかも。
…なんて考えも
人間の傲慢なのかもしれないですね。
どうしても他人と比べちゃうわよね
フランスの料理学校時代の同級生と再会した潮田。
あの頃優等生だった自分は赤字ギリギリ店の雇われシェフ。
対して元同級生は、当時は特にパッとしなかったのに
現在は評判のレストランを繁盛させています。
これは劣等感に苛まれても仕方ないかも。
そんな感情を表に出さない程には大人ですし
他人と比べたって仕方ない、とわかってはいても
どうしても凹みますよね。
レストランは
料理が美味しいことが一番嬉しいけれど
お店の経営となると
料理の腕だけでは儘ならないこともあるんだろうな。
犬かわいいよ、犬
犬派か猫派か?と問われれば
断然わたしは猫派なのですが
この本に登場する犬たち
ピリカちゃんとマタベーくんはかなり可愛いです。
潮田の飼い犬ピリカちゃんはイングリッシュポインター。
人が好きで表情や山で喜ぶ描写がかわいいです。
大高の飼い犬マタベーくんは北海道犬。
どっしり落ち着いた雰囲気がいい感じです。
すいすい読めちゃうのよ
作品のテーマは結構重ため。
だけどすいすい読み進められるし読後感も◎
これは
登場人物が魅力的で、お料理がおいしそうで
犬たちが可愛いからでしょうかね?
そこら辺も全部ひっくるめて
やっぱり著者の近藤史恵さんの文章力なんでしょうね。
(*´∀`)
解説も面白かったです
本の最後にある解説は坂木司さん。
真面目な解説文を読んでふむふむと頷きながら
ページをめくったら おまけもありました。
おもしろかったです。
坂木司さんも
美味しいものを扱った小説が多いから
きっと食いしん坊なんでしょうね。
おわりに
近藤史恵さんの
【みかんとひよどり】を読んだ感想でした。
ジビエ料理は食べたことがないのですが
今度挑戦してみようかな♪
近藤史恵さんの本また読みたいです♪
毎日寒いので皆さまお風邪など召しませんように。
それではまた(^▽^)/
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