アメリカの経済団体
【ビジネス・ラウンドテーブル】が
【株主第一主義】を見直す宣言をしたという話です。
参考にした番組
9/6(金)、9/20(金)
モーニングサテライト
©テレビ東京
ビジネス・ラウンドテーブル
【ビジネス・ラウンドテーブル】とは?
アメリカの主要企業のCEOが会員の経済団体。
日本でいえば【経団連】のようなものです。
その影響力は強く
経済界だけでなく、政界にも及ぶんだとか。
主なメンバー
現在の会長は、
JPモルガン・チェースのダイモン氏。
主なメンバーは
Amazon:ベソス氏
Apple:クック氏
ボーイング:ミューレンバーグ氏
GM:バーラ氏
ウォルマート:マクシロン氏
などなど。約200企業が参加しているそうです。
コーポレートガバナンス原則を公表
ビジネス・ラウンドテーブルは
1987年以降、定期的に
コーポレートガバナンス原則を公表してきたそうです。
コーポレートガバナンスって
【企業統治】と訳すらしいです。
これまでの原則
このコーポレートガバナンス
1997年からはずっと
【企業は主に株主のために存在する】
と明記されてきたそうです。
【株主第一主義】 または
【株主至上主義】と呼ばれています。
政界への影響
政界への影響力の具体例としては
これまでに
消費者保護法や、
労働組合を強化するような法案を
阻止する事に成功してきたんだそうです。
利益が何より大事なので
消費者のことも従業員のことも
知ったこっちゃないって事でしょうか?
株主第一主義について
企業が売上金を手にした時
それは全部、その企業のものではありません。
売上金の分配
売上金の分配について
エコノミストの方がざっくり説明してくれました。
・取引先に材料費などを支払います。
⇒残った分が、売上総利益です。
・次に従業員の給与などを支払います。
⇒残った分が、営業利益です。
・銀行に金利を支払った後、経常利益になり
・政府に税金を納めた後が、純利益です。
この最後に残った純利益が企業の分。
株主に分配する分は、ここです。
株主第一主義
とにかく株主への分配金が
多くなるようにしなさいよ!
というのが
株主第一主義ですね。
株主への分配を多くしようとすると?
【株主第一主義】で、利益の分配を、
株主にだけ多くしようとすると
どうなるか?というと
株主以外への分配金を圧縮する
パターンが多くみられます。
取引先には値下げを要求。
従業員の給与減額、人員削減。
銀行には低金利を要求。
政府には法人税を下げるよう要求。
そうした結果
人々は物を買わなくなり
企業の売上金そのものが減り
株主は
売上金に対する分配率は上がっても
実際に受け取る金額は増えない。
なんてこともあるそうです。
ビジネス・ラウンドテーブルの新原則
つい最近まで、上記のような
【株主第一主義】を掲げてきた
ビジネス・ラウンドテーブルが
2019年8月に宣言した
コーポ―レートガバナンスは
以下の様な内容です。
************
・顧客への価値の提供
・従業員への投資
・取引先を公正、倫理的に扱う
・地域社会へのサポート
・株主に長期的な価値を生み出す。
***********
ふむ、至極真っ当ですね。
大きな方針転換
今までずっと
【利益第一】【株主第一】
を宣言してきた団体が
今回、このような声明を発表したことは画期的で
大きな話題となっています。
これが本当に実施されるならば
大きな方針転換になります。
株主第一主義からの転換に対する反応
【非難】
機関投資家協議会(CII)は
この方針転換を非難している模様。
【支持】
市民からは歓迎する声。
【懐疑的】
市民の中では別の見方も。
過去の行動を見れば、
口先だけのイメージ改善策だろう
と懐疑的に捉える人も。
新しい声明を出した背景は?
ビジネス・ラウンドテーブルが
新しい声明を出した背景には
いろんな理由があるみたいです。
タイミングも大事らしいです。
反大企業感情の高まり
企業は、利益追求の為に
いろいろ実施してきました。
・大量のリストラ
・工場閉鎖
・チャリティイベントなどへの金額を減らす
などなど、
社会への貢献度が下がっている事に対して、
多くの人が不満を抱えていたようです。
以前から、そんな感じだったので
リーマンショック以降は更に
【反大企業感情】が高まったそうです。
貧富の格差が加速
アメリカの上位350社の
CEOと一般労働者の平均報酬を
調べたデータがあるそうです。
【1978年】
CEO平均:165万ドル
一般労働者:5万ドル
差 29倍
【2018年】
CEO平均:1718万ドル
一般労働者:5.6万ドル
差 278倍
出所 Economic Policy Institure
*ストックオプションの権利行使価格を考慮した場合
大統領選が影響
アメリカは、次の大統領選に向けて
動き始めているんですね。
そんな中、次期大統領に有力視されている人のうち
サンダース上院議員は
【民主社会主義者】を自認していますし
ウォーレン上院議員は
【富裕税】を提案しています。
⇒反大企業体制が
形になりつつあります。
自己防衛策かな?
番組のコメンテーターさんの意見では
世間の目がだんだん厳しくなってるし
次の大統領になった人によっては
より厳しい状態になるかもしれない。
⇒今のうちに、新しい方針を打ち出すことで
自己防衛策としたのでは?
とおっしゃってました。
ESGに取り組む企業に投資が集まる
ESG:環境・社会問題・企業統治
機関投資家が、企業を選ぶ際に
ESG問題への取り組みを考慮する
流れが大きくなってるそうです。
そういった事も、方針転換に
繋がったのかな~。とわたしは思いました。
環境への取り組みは
他者から見てわかりやすいので
そこばかりに、投資が集まっている
とニュースで聞きましたが
ESGは環境だけではないので
社会問題や企業統治への取り組みも
頑張って欲しいです。
いろいろな社会問題は こちら ↓
おわりに
誤解しないで欲しいのは
企業が利益を追求するのは当然です。
権利、というか義務かもしれません。
でも、利益を求めるばかりで
顧客や従業員をないがしろにしていては
社会全体が疲弊してしまいます。
アメリカの経済団体
ビジネス・ラウンドテーブルの
新しい声明が
ただの自己防衛策だったとしても
口先だけのイメージ戦略だったとしても
声明を出したからには
今後、目に見える形で
何かは変わるだろうと思います。
この動きは
きっと日本にも影響するはず。
お客さん、従業員、取引先、地域の人々。
みんなを大切にする企業こそが
発展する世の中であって欲しいと願います。
もちろん【みんな】の中には
経営者や株主も含んでいいんですよ。
(^v^)