木瓜のぽんより備忘録

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アラフィフ主婦の備忘録。旅行・健康・お金など気になる事をメモ。

【読書】盤上の向日葵

読書の秋ですね♪

柚月裕子 著
【盤上の向日葵】を読みました。

ネタばれがあるので
これから読む方はご注意を♪

今回も長文で失礼します。
m(=_=)m

盤上の向日葵

作者:柚月裕子
出版社:中公文庫

あらすじ

平成六年、夏。
埼玉県の山中で身元不明の白骨死体が発見された。
遺留品は、名匠の将棋の駒。
叩き上げの刑事・石破と、かつてプロ棋士を志した新米刑事の佐野は、駒の足取りを追って日本各地に飛ぶ。
折しも将棋界では、実業界から転身した異端の天才棋士・上条桂介が、世紀の一戦に挑もうとしていた。
重厚な人間ドラマを描いた傑作ミステリー。
©盤上の向日葵・上巻の裏表紙より

主な登場人物

上条桂介

東大卒業後、外資系企業勤務を経てベンチャー企業を立ち上げ活躍。
実業界を突然引退して、将棋界へ飛び込む。
奨励会を経ずにプロ棋士になった異端の天才棋士。
プロ棋士になって3年、タイトル戦に挑んでいる。

佐野直也

新米の地域課警察官。
かつてプロ棋士を志し奨励会で励んでいた。
白骨死体の身元を調べるために、遺留品である将棋の駒の足取りを追う。

石破剛志

埼玉県警捜査一課のベテラン刑事。
腕は一級だが、口が悪く嫌みな性格の変わり者。

唐沢光一郎

長野県諏訪市に住む元小学校教諭。
小学生の佳介と出会い、将棋を教えたり世話をやく。

上条庸一

桂介の父親。クズ。
みそ職人として働いてはいるけれど仕事が終わると雀荘に入り浸り。

東明重慶

将棋の真剣師。クズ。
佳介の運命を大きく狂わせていく人物。

お話の流れが2つ

この物語は2つの軸で話が進んでいきます。
章ごとに時間が行ったり来たり。

将棋の駒の謎を追う捜査

1つ目の軸は
埼玉県の山中で発見された白骨死体の捜査で
遺留品である将棋の駒の足取りを追っていく様子が描かれています。

語り手は、新米警察官の佐野直也。
元奨励会員という経歴から、駒の捜査に抜擢されます。

長い間努力したけど手が届かなかった夢。
将棋の世界とは距離をおこうと思っていた佐野だけど
お仕事なので頑張っています。

上条桂介の物語

2つ目の軸は上条桂介の物語。
実業界で成功し、将棋界でも大活躍している棋士の
小学生時代、大学生時代、実業家時代、そしてタイトル戦。

桂介の小学生時代の語り手は
彼に将棋を教えてくれた、唐沢光一郎。

大学生時代以降は
桂介自身が語り手となっています。

読んでみた感想

捜査って大変

将棋の駒の足取りを追う捜査は大変。
唯一の遺留品であった将棋の駒は
初代菊水月作のとても貴重な物。
同じ製法で作られたものは7組しかないので
捜査は意外と早く終わるかも?なんて思われましたが
なかなか思ったようにはいきません。

何度も無駄足を踏むし、人には嫌がられるし
とても大変な仕事だなって思いました。

だからこそ、駒の行方がわかったときに
読者である自分も目の前が開けた気持ちになりました。

桂介の過酷な幼少期

人物紹介では華々しい経歴の上条桂介ですが
過酷な幼少期を過ごしています。

小学2年生の時に母親を亡くした後は父親から育児放棄され
食事や風呂も儘ならない様子。
小さい体で新聞配達のバイトをしていますが
それも父親の酒代と麻雀代に消えてしまいます。

昭和46年
行政や福祉はこういう子を救えなかったのかな?

手を差し伸べてくれた恩師

過酷な生活を送る桂介に手を差し伸べたのが
元小学校教諭の唐沢光一郎です。

唐沢は、将棋を教えるという名目で
毎週土曜日に桂介を家に招き
奥様と一緒に、食事や風呂などの世話します。

2年が過ぎたころ
桂介を父親から救い出そうと、唐沢はある提案をするのですが
父親の執着を目の当たりにして、桂介自身が断念。
その後、唐沢家を訪れることもなくなってしまいます。

でも唐沢のおかげで体も心も成長した桂介は
その後しっかり生活できるようになった様子です。

赤の他人でありながら
桂介を救うために動く唐沢は尊敬に値します。
桂介の父親のクズっぷりとの対比が凄い。

現在のように、ボタン1つでお湯は出ない時代。
大人から何も教わらないまま
小学生がひとり放り出されたら
きちんとした生活するのは厳しいですね。

唐沢夫妻が桂介に温かい食事を食べさせたり
お風呂に入れたり、清潔な服を着せたりして愛しんだことは
小学生だった彼を救っただけでなく
彼の礎になったと思いました。

毒親から離れて東京へ

成績優秀な佳介は東京大学に進学することに。
父親は桂介の上京に反対しますが
うまく言いくるめて上京、連絡を絶つ!
毒親からの脱出成功です♪

塾講師のバイトでも彼の評価は高く
桂介の人生に光が差したように思いました。

東明重慶との出会い

明るく光が差したと思えた桂介の人生に
暗雲をもたらしたのは
かつて少年時代の彼を救った将棋。

ふと立ち寄った将棋道場で
桂介は真剣師・東明重慶と出会います。

真剣師って?
アマチュア棋士で、お金を賭けて勝負する人のことみたい。
今はいないけど、昭和の時代にはいたそうです。

この重慶に関わったことで
桂介の運命が大きく狂っていきます。

重慶は理不尽なことを言ってるのだから要求をのむ必要はないのに
ずるずると重慶に入り込まれていく桂介を見てると
もう心配で心配で。

重慶にはほんとひどい目に合わされます。
わたしまで泣きそうになっちゃった。

成功者に!でも

桂介は東大卒業後、外資系企業に勤務。
その後ベンチャー企業を立ち上げ大成功。

若き成功者をマスコミがとりあげます。
そんなの見たらクズが寄ってくるのは当たり前。
連絡を絶った父親が何度も金をせびりにやってきます。

明らかにまともではない中年が頻繁に訪れるようになり
従業員から不信感を持たれていると感じた桂介は
何とかしなければ、と悩み始めます。
そんな桂介の元に、もうひとりのクズ重慶もあらわれます。

桂介が優秀すぎるのですよね。
細々と暮らしていればクズに見つからなかったのに。

桂介の人生を大きく狂わせた重慶。
物語の終盤で、重慶がしたことは
社会的に許されないことではあるけれど
桂介の心の澱を浚ってくれたのかも。

救われてほしかった

別々に流れていた話が、最終章で合流します。

桂介はずっと悩んでいたから
彼の選択には納得してしまいました。

でも彼が救われてほしかったな。

この本を読み終えて1か月ほど経ちますが
どうすれば彼を救えただろうか?と
今でも何度も考えてしまいます。

羽生善治九段♪

重たい内容でバッドエンド。

普段だったら選ばないであろう、この本を
わたしが購入した理由は…
【羽生善治九段】が解説しているからです♪

わたし将棋に詳しい訳ではないのですが
見るのが好きな【見る将】♪

毎週日曜にNHKで将棋フォーカスを見るし
将棋漫画の【3月のライオン】も買いそろえています。
そして羽生善治九段が好き♪

以前、ツヨキさん(id:tuyoki)も【見る将】だと知って
わたしも大好きな羽生さんのことを
ブログ記事にしたいと思っていました。

でも…羽生さんのことを想うと語彙力が蒸発して
「羽生さんが好き♪」としか書けぬ。

記事としてまとめられなかったので、ここに書いて昇華します♪

そして本日、9月27日は
羽生善治九段のお誕生日なの。
52歳おめでとうございま~す。
あなたは同学年の一番星です。
お慕い申し上げております。
(*´∀`)

ツヨキさんの将棋記事はこちら↓

www.omoitattarakichijitu.com

おわりに

柚月裕子 著
【盤上の向日葵】を読んだ感想+αでした。

柚月裕子さんは、クズな中年男性の描写がうまい、と
どこかの書評に書いてありました。

確かに、誰もが嫌悪するであろう人物像を
絶妙に書き表していると思います。 

家族や親戚に、こういうクズがいると
ほんと苦労するのですよね。
シミジミ(´・ω・`)

平凡で穏やかな毎日を過ごしたいわ、と改めて感じました。

それではまた(^▽^)/

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